わたしは様々な会社を経験する中で、いろんな社長を見てきました。その時に強く感じたのは、「経営者=会社」だということです。
会社は法律で決めたられた法人ですが、まさに「人」です。その法人の人格は、経営者の人格によって決まります。人柄といってもいいかも知れません。
中小企業では、筆頭株主が社長本人や家族であるケースが多いので、社長の人格が、そのまま会社の雰囲気に出ます。
株主が社長を選任することもあるので、サラリーマン社長の場合は別ですが。
社長がお客さまや社員を大切にする人なら、自然と社員もお客様を大切にします。そして社員が会社を好きになるので、頑張ります。
また社長が社会貢献や地域貢献に力を入れているなら、会社の雰囲気もそうなります。社長自らが、積極的に地域のイベントに参加する会社もあります。
逆に社長が儲け重視の人なら、会社もそうなります。
最近、偽装問題などで、いろいろ騒がれています。社長が「社員が勝手にやった」という場合がありますが、社員にそのような権限はありません。
もし仮に社員が勝手にやったことだとしても、その社員を雇った社長の責任です。社長が直接採用していなくても、最終的な責任は社長にあります。
だから、会社は社長の人格以上には成長しないのです。
良い社長なら社員も幸せです。しかし会社の実績に人格がともなわない社長なら、たとえ給料が高くても、社員は大変です。
私が人生で最初に入った会社の経営者は、猛烈に働くタイプでした。何か思い付いたら、朝3時や4時から仕事を始めていました。まだ夜じゃないかと思ったのですが(笑)
とても頭が良く、アイデアマンで、能力のある経営者でしたが、社員にも同じような頑張りを求めるため、かなり大変でした。
「今日は台風なので、会社は休みです。だから会議をしましょう。」と言われた時には、社員同士で、あきれて笑ってしまいました。
「会社に行くのが危険だから休みなのに・・・」今では懐かしい思い出です。
もう一つの会社は、社長自身が残業するタイプでした。24時を過ぎるのは普通で、徹夜で会社に泊まりこむこともよくありました。
徹夜すると、女性社員には不評です。清潔感がないからです。
そんな会社では、社員が定時に帰ることは不可能です。社長が頑張っているので、上司も帰れません。上司が帰らないと部下が帰れないのです。
残業すると、一見頑張っているように見えます。本当に残業が必要な場合もあるでしょう。
しかし残業が当たり前になると、「どうせ残業でやればいいか」ということになり、勤務時間内で行なうという努力がなくなります。
また残業ばかりしている会社の社員は、仕事以外で学ぶことが少なくなるので、結果的にマイナスになってしまいます。このような会社は、業績もよくありません。
残業するということは、社員数や仕事のやり方などで、バランスが崩れています。
逆に必ず定時に終わる会社もありました。
仕事が終わる時間になると、上司自らがすぐに帰ります。そのため社員も帰りやすい雰囲気が自然に出来ていました。社員は定時で帰れるように、時間内で努力します。
その会社では、仕事の後に、一緒にゴルフをしたり、飲み会をしたりすることが多かったです。もちろん参加するかどうかは自由です。
週休2日も確実に実行されていました。有給をちゃんと消化するようにすすめられていたので、週休が3日になることもありました。
しかも経営は安定していて、30年以上の歴史がある会社です。
だから社員に心のゆとりがあり、自然とお客様に親切になれます。
このような良い会社の雰囲気を作るのは、やはり社長の人柄次第なのです。あなたの会社の雰囲気を良くしたいなら、まずあなたの人格を磨きましょう。